フ○スクについてのX指定的習作

※X指定のつもりです。未成年者の方は読み飛ばして下さい。


現代小説エロスのようなものを書こうとして失敗。
やはり某書院風に文学性を持ち込むのは間違いだと思った。
もっと単純にしていこう。




フ○スクについてのX指定的習作


1:
僕は口に含んだフ○スクが溶けきらないきらないうちにキスをした。
初めてのキスが甘ったるいものであることは避けたかったのだ。
なんて、今だからこそ言える青臭さなのだけれど。


2:
私は舌先を魅せるように唇を舐めながら、口腔のフ○スクを溶かしていった。
勿論、唾液と一緒に彼氏の口に流し込むためだ。


3:
あ、やめろって馬鹿ッ!
私の停止も効かずに、フ○スクを入れやがってくれた。
なんていうか異物感ありまくりなんだけど。
っていうか、メンソ○ータム塗るとかフ○スク入れてみろとか書いてある
雑誌記者に蹴りを呉れてやりたい気分だった。


4:
テーブルの上にあったフ○スクのケースから2、3粒をまとめて口の中に
放り込んでから、無造作にケースをポケットに忍ばせた。


戦闘準備というかなんというか、出掛ける時のおまじないだ。
口が寂しい時のお友達。白い錠剤だけど、可愛い奴だと思う。
昔、喫っていた煙草に比べると、随分と大人しくなったほう。
只、最近は食べすぎで口の中が麻痺したのか、10粒でも辛いと感じなくなった。
コンビニではだまって青。緑とか水色とかピンクとかは邪道だね、と思う私がだ。


5:
私はフ○スクが溶け切るかどうかのうちに意識の混濁を感じた。
ただのフ○スクだった筈なのにと思っていたけれど、
その前のアルコールが私の体を侵食しているのだろう。


6:
私は体が自分のものでないように感じた。


ざらつく男の手が私を弄っている。
そうしているうちに、ケースから取り出したらしい白い錠剤が、
男の指先と共に私へ侵入してきた。
異物感を感じたのは一瞬の事だった。
あとは、アダルトビデオの見すぎのように男の指先が濡れきっていない
私の膣内を捏ね繰り回しているだけだ。


ん・・・ぁ、っあ、はぁ。


私は早く家に帰りたいなとか思いながら、時々、足の指先に力を入れたり、
身を捩るフリをして男の要求に応えた。
慣れれば以外と簡単なものだが、瞳を見られたらオシマイだと思って
ギュッっと目を瞑っていた。
これは夢の延長なんだって思い込むようにして。


自分が穢れたなんて意識はなかった。
周りの子がやっているのと同じようにしているだけだ。
殆どの大人達がしているように股をひらいて。


仰向けの姿勢からうつ伏せに寝転がされると、腰を掴まれた。
尻を向けろということだろう。
私はなるべく扇情的になるように、猫がのびをするような姿勢で男に尻を向けてやった。
指先が私の敏感な部分を擦るように刺激してきた。


はぁっ、ぁああ、ぃっ、んぁ、いっ。


息も絶え絶えな様子で堪える様子を見せる私。
時々尻を振っては男の指から逃げるような動作も欠かさない。
そのうち、興が乗ったらしい男は、自身の肉茎を私に突き入れてきた。
流石に、その瞬間ばかりは満員電車のラッシュのように押し入れられた声の無い悲鳴をあげそうになった。


肉の襞が男自身に絡むことが官能の扉だと言うのなら、潤滑が足りない私はその扉を開くことはないのだろうなと感じていた。
しかし、私が濡れているかどうかはお構いなしに、男は抽挿を開始した。
ストロークは3浅1深の律動。私の衝動はこんなマニュアルでは攻略されたくはないなと思った。
ただ、あとあと困るのは私なので、中学時代に好きだったK君の事を思い出して快楽を引き出すように努めた。
次第に幻想の一部に導かれるように私の体も反応を開始してくれたようで粘液の音が耳に届いてきた。
ぬちゃくちゃと猥雑な音は、人間の面倒さを私に感じさせる。


そうしているうちに男は加速していき、野太く息の荒さが絶頂の近さを感じさせた。
そういえばと、先日の男がバックスタイルのまま、両手を掴んで達した事を思い出す。
揺れとともにいつ離されるか解らない恐怖が私を不安に陥れたものだったが、それからすると今日はマシだ。
あれも、どこかの雑誌で、浮遊感のあるセックスとか書きたてたライターがいたからだ。いい迷惑だ。


男の加速が若干遅くなったような気がすると同時に私の尻肉が両方掴まれた。
ああ、やっと終わるんだ。と思うと、私はああっあんあぁぁぁぁんぁ、と男に合わせて自分も達するような様を見せた。
こうやって考え事をしながらでも声が出てくれる楽器のような人間の体は便利だなと思うが、絶頂ばかりは意識が必要だ。


ぁ、イきそうだ、イク、い、あ、とかなんとか聞こえて来たが、あまりバリエーションが無いなと不満さを訴える間もなく、
私の膣におそらくは白濁しているであろう液体が発射されたことを知った。


ブルブルと震えながら、男の性欲の塊がびちゃびちゃと肉襞に吐き出される。


ようやく解放された私は、男のほうにティッシュの箱を放ってやると、シャワーをどうするかと聞いてみた。
一緒に入るとか言われたら非常に迷惑なのだけれど、しょうがない時だってある。
いや、いい。と男が言ったので、内心ほっとした。


私はマジックミラーになっている風呂場へ向かうと、42度に設定した熱いシャワーを浴びながら、丹念に体を洗った。
お疲れ様、と誰に聞こえるもなく自分に言い聞かしてから丹念に労うのだ。


そうして、ヤンキー座りのような姿勢で、私は指先で先程の精液の痕跡を消すように努めた。
アフターだかなんだか知らないが、世の中は便利になったものだと感心する。
まぁ、IUDまで入れる気にならなかった私が、世の中の便利さに縋ってもいいのだろうかと自問自答してしまうが。
ゆっくりと時間を掛けて体を拭き、アップしていた髪を戻すと、私は鏡を見ないようにしてバスローブを着た。
ふぅ、と小さい溜息が出てしまうのが癖になりつつある。良くない、良くない。


シャワー室を出ると、男は寝息を立てていた。
5分後、起こさないように身支度を整えると、ご利用ありがとうございましたと心の中で言いながら、
部屋を後にした。それからいつもの番号にコールして車を呼びつける。
エレベータの中で、一組のカップルから好奇の視線を向けられたが、職業的デメリットとして諦めている。
そうして、近所で待機していたであろうシビックのエンジン音を聞くと安堵を感じた。
タクシーのように私の前で後部座席が開く。
私は乗り込んで、運転手に自宅へ、と告げる。


お疲れ様でした、と社交辞令的挨拶が交わされつつ私は自分の城へ戻れることに感謝した。
車の窓からはネオンの伸びた光が真夜中の闇を覆い隠すように主張を続けている。
肌寒さを感じた私は暖房を上げることを要求し、先程までの行為を記憶の外に追いやるように努めた。
コールガールとかそういう職業に就くことを想定してはいたが、いざなってみると、
色々と暗い部分が圧し掛かるを感じた。
何も考えない動物のような私であれ、といつも口癖のように言い聞かせるようになった。
元々、色々と考える性質な私なので、向き不向きで言うと、向かないのだろう。
幸いに、さほど無理な要求はされずにきたと思う。
顔面騎乗で放尿してくれとか言われないだけ、まだマシだと思ってはいる。
私は選択することが好きではなったので惰性でこういう職業となったことを恥じてはいない。
提供するものが頭脳か体かの差だ。自分を磨り減らすという意味ではそれほど変わりはないと思っていた。


そんなくだらない事を考えているうちに、シビックが停車した。
ああ、もう自宅なんだ。
私は運転手に次回の仕事を確認すると、手を振ってマンションの入り口をくぐった。
ボタンを押すと、エレベータは喜んで私をそのフロアへ連れて行く。


3F。そこが私の居住フロアだ。電子ロックの番号を押し、室内へ入る。
自動的に照明が点き、ドアの影から愛猫が顔を出す。
フ○スクという名の猫だ。
白い体に青い瞳というだけではなく、何故かフ○スクを欲しがるので名前をフ○スクと名付けた。
私はフ○スクを抱き上げると、リビングでソファーに身を横たえた。
フ○スクは寂しがっていなかっただろうかと思うと、胸がきゅっと切なくなり、
いつも余計に撫でてしまう。
いや、本当に寂しいのは自分なのだと認めるのが怖いだけだ。
私はフ○スクとの生活に充足を感じてはいないのだ。
ニャー、察したのか、猫だからなのか、フ○スクが鳴いた。
一日が堕落と後悔で終わる。そんな生活を2年も続けた私はなんなのだろうと思う。
部屋の広さを無駄に感じながら、視線を宙に泳がせた。