私と僕と。

なんというか、一貫した書き方は難しい・・・。
私はこれまで何を読んできたのかと、小一時間。

  • -





◇私
曇り空なんてここには存在しないかの如く、
見上げた空は青の色相を描き出していました。
薄い色から、濃い色へ。私が好きな色が何処までも続く風景は
私に恍惚感を持たせるに充分すぎました。


私は、思い切って足元を覆い隠してしまうような草原に身をまかせてしまうと
ひとしきりその空を眺めつづけます。
いつもは苦手だった草いきれの匂いも不思議と嫌に思わずに
悠然と広がる空を見上げていました。


私自身が吸い込まれてしまうような、錯覚を思わせるくらいの
その青さは私を魅了し、そうして、ずっと眺めていても
飽きる事のない美しさを兼ね備えていました。


時折、鳥の鳴き声がするような気がしましたが、
それは私の記憶の中にある風景から生じた偶然だろうと思います。
何故だか、本当に鳥が居るとは思えなかったのです。


完全なる調和の中にはあらゆる生態系はその存在を放棄
してしまう。
そういうことだと思います。




◇僕
曇り空なんて存在を忘れてしまうかのように
何処までも青空の続く世界
それはとてもとても美しくて、僕の四肢いっぱいに陽光を浴びては
草原を転げまわることくらいでしか、表現出来ないのです。


僕は何故、そこに存在しているかも考えることを忘れたように
ただただ草いきれの匂いと、心地よい風を肌に感じては
大きな雲とを眺めるばかりです。


吸い込んだ空気の心地よさや、あたり一面どこまでも続く草原に
僕は心奪われて、両手を広げました。


指先の隙間を流れていく風の粒子が光に反射するようで、
僕自身も風になってしまったような錯覚を起こしました。


そうして、僕は一羽の鳥になったように意識を大空へと拡散します。
鳥瞰してもその景色の完璧さは損なわれることなく、
かえってその荘厳さを増すのです。


僕がさっき寝転んだ草原は、
上空から見ると緑一色に染まったキャンバスのようで、
時折波間のように流線を作り出しては、また何事もなかったかのように
そこに存在していました。