ハチミツとクローバー

ハチミツとクローバー 10 (クイーンズコミックス)

ハチミツとクローバー 10 (クイーンズコミックス)

ついにハチクロがおわった。
友人に薦められて読み始めたこの物語だったが、
終わってみると、心にぽっかりと寂しさが残った。
それは、或る日、心の中に現れて、
「私の居場所をつくってね。」と優しく微笑む類の、
僕にとっては、よくある出会いであったが、
それは突然に去ってしまった。


花火の、いつまでも続いてほしい、その時の時間と、
お祭りのあとの、「あー、楽しかったなぁ。」とベッドに倒れこんだあとの時間の落差。
一瞬だからこその美しさと、ずっとずっと輝いているようなその激しさと、
あーもう、何言いたいんだかよくわからない的な感動。


登場人物達は、それぞれの道をこれからも歩み続けるであろう。
ハチクロは確かに終わったけれど、それは、彼らの人生の一部を切り取っただけであって、
決して、彼らの歩みが止まることはないのだ。


それらは、今やっと始まったばかりなのだ。




おわりのはじまり。


彼らは、彼らの力で、自分達の道を歩き始めた。
そして、あの時の時間を、とてもとても大事に抱えて、これからを生きていくことだろう。


僕の中では、今もハチクロ劇場に、超満員の観客達のスタンディングオベーション(でよかったっけ)が
続いている。


泣いている人もいる。
じっと耐えている人もいる。
友達と抱き合っている人もいれば、
恋人としっかりと手を握り合っている人たちも。



物語の終わりは、常に読者に一つのメッセージを残す。


「次はあなたの番です。」



この一瞬の気持ちが拡散してしまわぬ間に、
次のことをはじめようと思う。