LAST EXILE

各所に先人達のアニメへのオマージュやリスペクトが見られる作品。*1
空は美しく、飛行するVanship(小型飛空挺)の流線型のフォルムに凝縮される機能美。
登場人物達は表情豊かに描かれ、存在感のある感情と人生と喪失感と孤独と悲しみと
喜びと笑顔と淡い恋心が同居していました。


一人の男の妄執。
パワーバランスの崩れた醜い権力争い。
主人公のクラウスとラヴィが否応無しに巻き込まれ、
そして父親達を連れ去った真実を垣間見る。


この物語を支えるのは村田蓮爾のイメージを忠実に描き出し
独特のガジェットを違和感なく溶け込ませている3DCGと2DCGの融合であり、
おそらくは綿密な議論が行われたであろう世界観だと思います。
一話一話が溜息の出るほど映像の質が高いのは元より
音楽や声優達がその世界に上品な色付けをしており
安心して観られる作品でした。


個人的には主人公達や脇役達のその後が非常に気になっていますが、
ラストも悪くなかったかなと。
・・・ただ台詞が綺麗すぎたと思う。
登場人物達は常に身近に死を捉えており、
何かを選択して今の現実に辿り着いたわけで。
それがクラウスの台詞によって語られるのは、
あまりにも陳腐であったと。
更に惜しむらくは先人達の作品に似通ったストーリーを感じてしまう部分が
多かったことです。


作品が素晴らしいだけに厳しい見方をしてしまう一作でありました。
全26話。